一般乗用旅客自動車運送事業(法人タクシー)
乗車定員10人以下の自動車を使用して、一個の契約により貸し切って旅客を有償で輸送する事業を行うには、国土交通大臣に「一般乗用旅客自動車運送事業」(1人1車制個人タクシーを除く)の許可を受けなければなりません。
要件
営業所
(1)営業区域内にあること。なお、複数の営業区域を有する場合にあっては、それぞれの営業区域内にあること。
(2)申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原を有するものであること。
(3)建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令の規定に抵触しないものであること。
(4)事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること。
事業用自動車
(1)申請者が使用権原を有するものであること。
(2)申請する営業区域において定められた車両数以上の事業用自動車を配置するものであること。
(3)同一営業区域内に複数の営業所を設置する場合にあっては、いずれの営業所においても5両以上の事業用自動車を配置するものであること。
自動車車庫
(1)原則として営業所に併設するものであること。併設できない場合は、営業所から直線で2km以内で、かつ、運行管理をはじめとする管理が十分可能であること。
(2)車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保され、かつ、営業所に配置する事業用自動車の全てを収容できるものであること。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画されているものであること。
(4)申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原を有するものであること。
(5)建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
(6)事業用自動車の点検、清掃及び調整が実施できる充分な広さを有し、必要な点検が実施できる測定用器具等が備えられているものであること。
(7)事業用自動車の出入りに支障のないものであり、前面道路との関係において車両制限令に抵触しないものであること。なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり、かつ、事業用自動車が当該私道に接続する公道との関係においても車両制限令に抵触しないものであること。
休憩、仮眠又は睡眠のための施設
(1)原則として営業所又は自動車車庫に併設されているものであること。併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2kmの範囲内にあること。
(2)事業計画を的確に遂行するに足る規模を有し、適切な設備を有するものであること。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画され、かつ、事業計画に照らし運転者が常時使用することができるものであること。
(4)申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原を有するものであること。
(5)建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
管理運営体制
(1)法人にあっては、当該法人の役員のうち1名以上が専従するものであること。
(2)営業所ごとに、配置する事業用自動車の数により義務づけられる常勤の有資格の運行管理者の員数を確保する管理計画があること。
(3)運行管理を担当する役員が定められていること等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
(4)自動車車庫を営業所に併設できない場合は、自動車車庫と営業所とが常時密接な連絡をとれる体制が整備されるとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立されていること。
(5)事故防止についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告等の責任体制その他緊急時の連絡体制及び協力体制について明確に整備されていること。
(6)上記(2)~(5)の事項等を明記した運行管理規程が定められていること。
(7)運転者として選任しようとする者に対し、運輸規則に定める指導を行うことができる体制が確立されていること。
(8)運転者に対して行う営業区域内の地理及び利用者等に対する応接に関する指導監督に係る指導要領が定められているとともに、当該指導監督を総括処理する指導主任者が選任されていること。
(9)原則として、常勤の有資格の整備管理者の選任計画があること。
(10) 利用者等からの苦情の処理に関する体制が整備されていること。
運転者
(1)事業計画を遂行するに足る員数の有資格の運転者を常時選任する計画があること。
(2)適切な乗務割、労働時間、給与体系を前提としたものであって、労働関係法令の規定に抵触するものでないこと。
(3)運転者は、下記に該当する者ではないこと。
① 日々雇い入れられる者
② 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
③ 試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く)
④ 14日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者
(4)定時制乗務員を選任する場合には、適切な就業規則を定め、適切な乗務割による乗務日時の決定等が適切になされるものであること。
資金計画
(1)所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。
(2)所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されていること。
法令遵守
(1)申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員が、一般乗用旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令の知識を有するものであること。
(2)社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること。
(3)道路運送法第7条(欠格事由)各号および公示基準に該当していないこと。
損害賠償能力
旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運行により生じた旅客その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するため講じておくべき措置の基準を定める告示で定める基準に適合する任意保険又は共済に計画車両の全てが加入する計画があること。
必要書類
1. 事業の用に供する施設の概要及び付近の状況を記載した書面
① 営業所、車庫、休憩、仮眠又は睡眠のための施設の案内図見取図、平面図(求積図)
②営業所、車庫、休憩、仮眠又は睡眠のための施設に係る関係法令に抵触しない旨を証する書面
③施設の使用権原を証する書面
自己所有:不動産登記簿謄本等
借入:賃貸借契約書(写)等
④車庫前面道路の道路幅員証明(前面道路が国道の場合は不要)
⑤計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
車両購入:売買契約書(写)又は売渡承諾書(写)等
リ ー ス:自動車リース契約書(写)
自己所有:自動車検査証(写)
2. 計画する管理運営体制を記載した書面
運行管理者資格者証(写)
運行管理者就任承諾書
有資格者の整備管理者を証する書面
整備管理者就任承諾書
運行管理規定
運転者指導要領
3.事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
任意保険の見積書(補償額、保険料の分かるもの)
タクシーメーター器の見積書
申請日直近の残高証明書(申請者名義)
4.法第7条(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨を証する書面
及び法令遵守状況を証する書面(宣誓書)
運転者選任に係る宣誓書
5. 社会保険等加入義務者が社会保険等に加入する計画があることを証する書面等
(健康保険・厚生年金保険)新規適用届(写)及び労働保険/保険関係成立届(写)又は宣誓書
6. 既存の法人にあっては、次に掲げる書類
① 定款又は寄付行為及び登記簿謄本
② 最近の事業年度における貸借対照表
③ 役員又は社員の名簿及び履歴書
7. 法人を設立しようとするものにあっては、次に掲げる書類
①定款又は寄付行為の謄本
②発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書
③設立しようとする法人の株式の引受けを記載した書面
8. 個人にあっては、次に掲げる書類
① 資産目録
② 戸籍抄本
③ 履歴書
運行管理者
運行管理者とは、道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行なう者をいいます。
運行管理者の業務
具体的な業務として、以下のものが挙げられます。
• 事業用自動車の運転者の乗務割の作成
• 休憩・睡眠施設の保守管理
• 運転者の指導監督
• 点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握
• 安全運行の指示
運行管理者の配置基準
営業所ごとに、保有車両29両まで1名、以降30両ごとに1名ずつ運行管理者を選任しなければなりません。
運行管理者になるには
運行管理者になるには、自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証を取得する必要があります。運行管理者資格者証を取得するには次の二つの方法があります。
1. 運行管理者試験に合格する。
受験資格として、事業用自動車の運行管理に関する1年以上の実務経験または自動車事故対策機構(NASVA)が行なう基礎講習の受講が必要です。
2. 事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の業務経験その他の要件を備える。
• 取得しようとする運行管理者資格者証の種類に応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務経験がある。
• その間に自動車事故対策機構が行なう運行管理に関する講習を5回以上受講している。5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している。
運行管理者の補助者について
自動車運送事業者は、運行管理者の業務を補助させるため、国土交通大臣が認定した講習を受講した者のうちから、補助者を選任することができます。
補助者を選任する場合には、その職務及び選任方法等について、運行管理規程に明記しておく必要があります。
運行管理者講習
運行管理者に選任された場合、次のように運行管理者講習を受けなければなりません。
既に運行管理者に選任されている場合には一般講習を2年に1回受講させなければいけません。
種類 | 講習の対象者 | 講習時間 | 手数料 |
---|---|---|---|
基礎講習 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する必要な基礎知識の習得を目的とされる方 | 16時間 (3日) |
8,700円 |
一般講習 | 既に運行管理者として選任されている方又は運行管理者の補助者として運行管理業務をされている方 | 5時間 (1日) |
3,100円 |
特別講習 | 重大事故又は法令違反により行政処分を受けた営業所の運行管理者の方 | 13時間 (2日) |
17,500円 |
講習を受講する際には予約が必要となります。講習申込みにつきましては、NASVAのホームページ上で予約が可能です。
運行管理者試験
[実施日]
年2回、8月及び3月に実施
[受験資格]
次のいずれかに該当する必要があります。
1.事業用自動車(事業の種別は問いません。)の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
2.実務の経験に代わる講習を修了した者。
実務の経験に代わる講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習が認定されています。
[試験の種類]
旅客、貨物の2種類があります。
[試験科目]
道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、労働基準法などの法令等並びに運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力について出題されます。
[合格基準]
合格基準点は次の(1)及び(2)の得点を満たしていること。
(1)今回試験については、正解が30問中18問以上であること。
(2)次の①~④の出題分野ごとに正解が1問以上であり、⑤については正解が2問以上であること。
① 貨物は貨物自動車運送事業法 、旅客は道路運送法
② 道路運送車両法
③ 道路交通法
④ 労働基準法
⑤ その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
整備管理者
整備管理者とは、道路運送車両法などの法律に基づき、使用者に代わって自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理する者をいいます。
具体的には、以下の業務を行うことが必要とされています。
• 日常点検について、その実施方法を定め、それを実施すること又は運転者等に実施させること
• 日常点検の実施結果に基づき、自動車の運行の可否を決定すること
• 定期点検について、その実施方法を定め、それを実施すること又は整備工場等に実施させること
• 上記以外の随時必要な点検について、それを実施すること又は整備工場等に実施させること
• 日常点検、定期点検又は随時必要な点検の結果から判断して、必要な整備を実施すること又は整備工場等に実施させること
• 定期点検又は前号の必要な整備の実施計画を定めること
• 点検整備記録簿その他の記録簿を管理すること
• 自動車車庫を管理すること
• 上記に掲げる業務を処理するため、運転者及び整備要員を指導監督すること
整備管理者の選任が必要な自動車使用者
次の表に該当する使用の本拠ごとに整備管理者の選任が必要です。
事業の種類 | 自動車の種類 | 選任が必要となる台数 (使用の本拠ごと) |
---|---|---|
事業用 (貨物軽自動車運送事業用自動車を除く) |
バス (乗車定員11 人以上の自動車) |
1台以上 |
トラック、タクシー (乗車定員10人以下の自動車) |
5台以上 | |
自家用 | バス (乗車定員11 人以上の自動車) |
乗車定員30人以上の自動車の場合は1台以上 |
乗車定員11人以上29人以下の自動車の場合は2台以上 | ||
大型トラック等 (車両総重量8トン以上) |
5台以上 | |
レンタカー | バス (乗車定員11 人以上の自動車) |
1台以上 |
大型トラック等 (車両総重量8トン以上) |
5台以上 | |
その他の自動車 | 10台以上 | |
貨物軽自動車運送事業用自動車 | 軽自動車又は小型二輪自動車 | 10台以上 |
整備管理者の資格要件
整備管理者になるためには、次のいずれかの資格要件を満たすことが必要です。
1. 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること
2. 一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること
資格要件1.について
• 「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車」とは、
2輪自動車以外と2輪自動車の2種類です。
• 「点検又は整備に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
整備工場などで整備要員として点検・整備業務を行なった経験
自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行なった経験
• 「整備の管理に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
整備管理者の経験
整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験
整備責任者として車両管理業務を行った経験
資格要件2.について
• 「地方運輸局長の行う研修を修了した者」とは、運輸支局毎に実施している「整備管理者選任前研修」を受講・修了した方をいいます。